「血管と脂質」セミナーレポ

2021年10月17日

先月に開催された日本リポニュートリション協会主催、
財満信宏先生のセミナー
「血管と脂質」
とても面白かったです♪

興味深かったポイントを少しだけシェアしますね♪

老化に最も関わる因子は?

こちらの研究論文では老化にかかわる因子をいろいろな角度から測定しています。

 

結論として、炎症老化時計(iAge)を計算する上で、
もっとも影響を与えた因子はCXCL9という、
血管で産生されるタンパク質で、
それは免疫細胞を呼ぶ働きがあるものだということです。

先生は
「あなたの年齢は血管で決まる」
という格言を裏付けるものだとおっしゃっていました。

血管は形が大事!

さて、血管において大事なこととして、その形を保つことがあるそうです。

血管が内側方向に異常になると、
狭窄・閉塞がおきてそれは動脈硬化の原因となります。

血管が外側方向に異常になると、
拡張・破裂・解離がおきてそれは動脈瘤や乖離の原因となります。

どちらの疾患もとても多いですね。

動脈硬化(狭窄)

動脈硬化になる原因として一つはコレステロールというのは有名ですね。

コレステロールが血管壁にたまることで、動脈が硬化し、血栓ができたりします。
それを防ぐのにはスタチンが有効だということがわかっています。
(↑スタチンの是非は別として)
でも実はスタチンで防げる動脈硬化は4割程度、効かない人もたくさんいます。

 

ここはちょっと脇道にそれますが、
スタチンを飲んだ上でDHA、EPAを飲むとさらに 冠動脈疾患が2割程度低下したということです。
だからスタチン飲んでる人もDHA、EPAとるの大事です!

 

さて、本題に戻ります。

実は動脈硬化にはいくつかのタイプがあります。
あるタイプの動脈硬化では血管壁にコレステロールが存在しないのです。

そこには代わりに中性脂肪(TG)がたくさん存在していました。

そう、動脈硬化の原因はコレステロールだけではなく、TGが関与していることもあるのです。

このTGがたまる理由はまだ研究段階だそうです。
一説としてはTGから脂肪酸に切り出す酵素に異常があるのではないか?ということだそうです。

またTGがたまるタイプの人にDHA、EPAが有効かどうかも今、研究中とのことでした。

腹部大動脈瘤(破裂)

もう一つの血管の異常として外側方向の異常、があります。

それがおこる理由としても中性脂肪が関わっているそうです

腹部大動脈瘤(AAA)が拡張し始める時には、
大動脈に栄養を与えるためにある周りの細い栄養血管の狭窄がおこり、
動脈壁の循環不全がおきるようです。

簡単に言うと、大動脈に栄養がいかなくなるということですね。

ただ、それで拡張しても破裂するものと破裂しないものがあるのですが、
破裂する時を観察すると、周りに脂肪細胞が異常に出現していたそうです。

脂肪細胞の周りにはマクロファージが集まってきて、
マクロファージは血管の強度を保つためにある繊維を溶かす酵素を出すので
その繊維が溶かされる、結果、動脈が破裂するのだそうです。

AAAを抑制するのにDHA、EPAが有効でないかと期待されていて、研究が進んでいるそうです。

どちらにしても
中性脂肪を必要以上に増やすのは血管の健康にとてもよくない
ということですね!

これまで血管の健康というと、コレステロールばかり注目されていましたが、
これからは中性脂肪を増やしすぎないということも意識していく必要がありそうです。
中性脂肪は余分な糖質から作られることからも間違った糖質の摂取はやっぱりダメということですね。

注)コレステロール自身が悪いわけではなく、コレステロールが血管に溜まって
酸化することが問題ということにご注意ください。

だからと言って安易に糖質制限というのは違うと私は考えていますが、
この話は今回は割愛します。
難しい内容をとてもわかりやすく、質問にも丁寧に答えてくれた財満先生と、
主催してくれた地曳直子さんにとても感謝しています!