脂肪酸と免疫、アレルギー ~webinarレポ~

引き続きワクチンと腸内環境の専門家である國澤純先生のwebinarからの情報です。
前回のブログはこちら→☆

免疫アップするオメガ6系脂肪酸、抗炎症のオメガ3系脂肪酸

食事から取る必要がある脂肪酸=必須脂肪酸であるω6系脂肪酸、リノール酸は
大豆油などに多く含まれています。

リノール酸は体内でアラキドン酸に代謝され、
そこから炎症促進作用のある

プロスタグランジンやロイコトリエンが産生されます。

ロイコトリエンB4は喘息や鼻炎などの炎症を促進することで知られていますが、
腸管で生体防御として働くIgA抗体を産生します。

だから、腸管での免疫にとても重要なんですね。

それなら、免疫をあげるためにどんどんオメガ6系脂肪酸をとればいい!
というわけではないようです。

免疫がアップしすぎると免疫暴走が起きます。

COVID-19では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が問題になりましたね。
これはまさに免疫が暴走しすぎた結果です。

なので免疫を上げすぎるのも問題です。

これに対して亜麻仁油などに含まれるαリノレン酸はオメガ3系脂肪酸と呼ばれ、
αリノレン酸が代謝して得られるEPAは抗アレルギー、抗炎症作用のある
17,18-EpETEや15-HEPEなどを産生します。


まとめると、

炎症促進・免疫作用をアップする物質を産生するオメガ6系脂肪酸

抗アレルギー・抗炎症作用のある物質を産生するオメガ3系脂肪酸
どちらもバランスよくとることが必要
ということですね。

母乳中のEPAは乳幼児アレルギーを減少させる

EPAは前述のように抗アレルギー・抗炎症作用のある生理活性物質を産生します。

その後、通常の代謝では肝臓中でDHAに変換させるのですが、
母乳中ではちょっと違う代謝経路を辿るようです。

乳腺においてはEPAからDHAに変換されるのとは別の代謝経路により、
14-HDPAを産生し、これがT細胞の活性化を抑制します。

その結果、アレルギーが抑えられたという結果が得られています。

生後1ヶ月の時に14-HDPAを含む母乳中を飲んだ赤ちゃんは1歳児検診において
乳幼児アレルギーの発症が有意に低かった

参照:Hirata et al, Allergy (2020)

だから赤ちゃんをアレルギーにしたくなかったら、
お母さんがオメガ3系脂肪酸をしっかりとるのはとても大事!ということですね。

αリノレン酸でとることも大切!

先生の講義が終了した後もとてもたくさんの質問が寄せられていました。
その中で興味深い質問がありました。

Q. αリノレン酸が体内でEPAやDHAに変換されるのであれば(変換効率も低いし)、
できるだけEPAやDHAからとった方がよいのですか?

A. そうとも言えます、しかし、αリノレン酸からの代謝物でも別の有用な効果がわかっています。
だからαリノレン酸としてとることも大切です。

先生はさらに、
「その効果はいろいろわかってきているのですが、まだここではしゃべれないんです。。。」

(フフフ 笑)

そうなんですね~!

先生はDHAやEPAをオイルとしてとる時は鮮度がとても大事なので、
魚臭いようなのはとらないようにということもおっしゃってました。

だから亜麻仁油やえごま油としてとることも有効だし大事なんですね♪

今後の研究結果もとても楽しみです。

長時間お話くださった國澤純先生、主催してくださった地曳直子さんありがとうございました!