「腎臓が寿命を決める」

先日、面白い本を読みました。
「腎臓が寿命を決める」黒尾誠著 幻冬舎新書
自治医科大学の黒尾教授は加齢を専門に研究されています。

動物の寿命は体の大きさにある程度比例すると考えられています。

たとえばネズミの寿命は3年、ウサギは10年、ヒツジは20年、ゾウは70年。
これは納得ですよね?
でもこの寿命曲線にのらない生物がいるのです。
例えばハダカデバネズミは28年、コウモリは30年、そしてヒトは78年!!
体の大きさから考えたら異常に長生きなのです。
黒尾先生によると、生き物の寿命を決めるのは大きさだけではなく、
生体内のある成分によるということです。
その成分とは「リン(P)」
血中のリンの濃度と寿命をグラフにすると
今度は綺麗に相関関係がみられました。
(血中リンの濃度が低いほど寿命が長い)
そして、そのリンの体内からの排泄を
コントロールしているのは腎臓です。

 

黒尾教授は研究を通じて、腎臓からリンを排泄するホルモンの
受容体となる「クロトー遺伝子」を発見しました。

 

ここで言うリンとは、リン酸カルシウムのことです。
人体では骨として蓄えられている物質ですね。
とても重要なものでありながら、
血中にリンとしてでてしまうととても危険なものになるのです。
その危険なリンをせっせと体外に排泄しているのが腎臓なのです。

 

腎臓にはネフロンという濾過装置があってそこで不要なものを濾過しています。
その性質上ネフロンは再生することはなく、使えば使うほど減っていきます。
生まれた時にネフロンはとてもたくさんありますが、加齢とともに徐々に減っていきます。
そしてその減少はリンがたくさんあると加速されます。

 

そして、余分なリンは
高リン血症
動脈硬化
成長障害
心肥大
骨粗鬆症
サルコペニア
認知症
寿命の短縮
などを引き起こします。

 

そう、リンは老化加速物質なのです!

 

このあたりのメカニズムの話はとても面白いので、
興味のある人は本を読んで下さい。

 

大切なのは腎臓の負荷を減らすために、
余分なリンを体内に取り込まないことが大切になってきます。
では、何にたくさんリンが含まれているのか?

まず、リンには有機リンと無機リンがあります。

有機リンは主に食品中に含まれ、
肉類、魚介類、卵、乳製品などタンパク質食品に多く含まれています。

 

でも吸収率が高いためもっと問題になるのは
無機リンでこれはおもに食品添加物として含まれています。
ソーセージ、ハム、ベーコンなどの加工肉、干物や練り物、
スナック菓子、インスタント麺、ファストフードなど
ほとんどの加工品に含まれています。

 

無機リンの体への吸収率は90%以上
口に入ったものはほとんど吸収されると思った方がよさそうです。

 

具体的な添加物名としては
「かんすい」「酸味料」「香料」「乳化剤」
「pH調整剤」「強化剤」「結着剤」
など
いつまでも若々しくいるためにはこれらを避けることがとても大切です!

 

***

 

ここからはホメオパシー的見方です。
この問題になるリン酸カルシウムですが、これはホメオパシーだと、
Calcarea phosphorica(Calc-p.)というレメディー
あるいはティッシュソルトとして使用します。

 

骨の成分であることから、
骨や歯に関わることに使うことが多いのですが、
腎臓にも対応することができます。

 

ただ、作用がとても強いレメディーの一つなので、
使うタイミングが難しいレメディーです。
セルフケアで使う場合は必ずティッシュソルト
で使って下さいね。

 

200年以上前から使われているホメオパシーですが、
現代の最先端の科学で発見ようなことにも
経験的に対応しているということがすごいなといつも感心します。